「リーンな車両開発プロセスへの挑戦―デジタルエンジニアリングの活用」
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イブニングフォーラムは50名弱の熱心な聴講者の参加で盛会裏に終了。年末の時期のお忙しい時に参加頂き有難うございました。写真と講演資料アップ(下記の<プログラム>講師名の後)しておきます。
いつもESD21の活動に多大のご支援を賜りありがとうございます。100年に一度の大変革の時代と言われ、その技術的けん引役は情報通信技術(ICT)と言っても過言ではない。自動車産業がグローバル化、大競争時代に入ったのは日本経済のバブル崩壊の90年代初。ボーイングが3次元CAD/CAMによるデジタルモックアップを777開発に適用した報道や、クライスラーの「ネオン」が発表され、画期的な開発期間短縮や安価な販売価格は、日本の全自動車産業を震撼とさせた記憶がある。そのような背景には米国の製造業競争力回復のため軍需産業で培われてきたデジタルエンジニアリング技術の民生移転・展開もあります。
爾来、航空機や車の設計開発が3次元モデルの時代に入り、3次元CAD/CAM/CAE、3次元シミュレータの適用が90年代中頃に商用化されたインターネットと共に、製造業だけでなく、広く日本経済として産業の高度情報化時代が始まった。
トヨタは3次元CAD/CAM/CAEの流れの中で、90年代後半にトヨタ独自のCAD/CAMを開発し、2000年初めに発売したヴィッツやカローラに適用した。しかし、トヨタのグローバル展開の過程で、海外の部品サプライヤとの部品・車両データの共有で大きなネックとなり、結果的には自前主義を棄て、ボデー系は仏ダッソーシステムのCATIA、ユニット系ではパラメトリック社のPro/Eに切り替える事になる。トヨタでは新車開発のリードタイム短縮のための並行設計・評価活動をSE活動と呼ぶ。生産準備部門などの後工程が設計段階まで入り、3次元モデルとシミュレーションツールを適用したフロントローディングおよび大部屋によるSE活動が推進されてきた。人とITツールによる設計・生産準備でなる製品開発をデジタルエンジニアリングと定義できるが、ボデー開発対象のV-Comm、部品開発対象のCASEと呼ばれたITツールが国内外50箇所以上に適用されてきた。
今回登壇頂く根岸氏はトヨタのV-Comm開発者であり、新車のリードタイム短縮へのSE活動に取組んできた貢献者の一人。貴重な機会ですので、ご関心の皆様には是非参加頂きたくご案内いたします。
略語 SE:Simultaneous Engineering V-Comm: Virtual &Visula Communication CASE: Commuputre Integrated SE
参考資料(経営情報学会研究会掲載): トヨタ情報システム小史(経営情報学会2010).pdf
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================== 記 ==================
- 日時 : 平成30年12月19日(水)<18:00受付>18:15~19:45
- 場所 :「東桜会館」<第2会議室> 地下鉄東山線「新栄町」、桜通線「高岳」より各徒歩5分 http://www.chudenfudosan.co.jp/bunka/map/higashisakura
- 定員 : 70名(会員優先、先着順)
- 会費 : ESD21会員・招待者・入会予定者無料。12月に余席あればビジターご招待
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<プログラム>
- 講演テーマ:「リーンな車両開発プロセスへの挑戦―デジタルエンジニアリングの活用」
- 講師: 元トヨタ自動車(株)車両生技部車両情報管理室室長 根岸 孝年 氏 資料(根岸).pdf
- 講演概要:自動車業界の生き残り大競争の中、世界的に注目された約20年前の車両開発プロセス改革の事例紹介。当時を回想し、現在でも新鮮であろうその考え方・内容を背景とともにご紹介する。
- 講師プロフィル
・1969年豊田工業高等専門学校機械工学科を卒業、同年トヨタ自動車工業(当時)に入社
・約3年のプレス型設計実務を経験後、CAD/CAM/CAEによるエンジニアリング業務のプロセス改革に一貫して従事
・主な在籍部署 第二生技部、スタンピングツール部、第三生技部、車両生技部、技術管理部
・2003年㈱BPAに出向、2008年ダッソーシステムズ㈱に転籍、2016年現役引退
・BPA/ダッソーシステムズ㈱では、広く製造業のデジタルエンジニアリング化の啓発事業活動に従事
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<交流・懇親会>
講師を囲んだ交流会。 定員:40名、参加費:4千円、トヨタ「葵クラブ」20:00~21:30
<参加申込>
不明な点は下記にお問合せ下さい。ご参加は下記申込フォームに記入下さい。 E-mail: skuro*esd21.jp (*を@に変更してメール下さい)